第5回。総務省の白書が示すAI・機械学習・ディープラーニングの入れ子関係から、OpenAIが2021年に発表したDALL-E、Transformerを提案した論文『Attention Is All You Need』、個人情報保護委員会による生成AIへの入力に関する注意喚起、複数のデータ形式をまとめて扱うマルチモーダルAI、外部文書を検索してから答えるRAGの仕組み、ディープラーニングの実力を世に示したAlexNet、AIが文章を処理する最小単位のトークン、次の単語を順に予測する自己回帰モデル、そしてAI開発者・提供者・利用者という3つの立場に指針を示すAI事業者ガイドラインまで、シラバス5章を1周する10問です。答えと解説はそれぞれ開くまで隠れています。
問題文・答え・解説をまとめて読む(全10問)
Q1第1章 AI(人工知能)
「AI」「機械学習」「ディープラーニング(深層学習)」という3つの言葉は、しばしば区別せずに使われることがある。総務省の情報通信白書が図表で示す、この3つの関係として正しいものはどれ?
- AI・機械学習・ディープラーニングは相互に重ならない独立した3つの技術である
- ディープラーニングという最も広い概念の中に、AIと機械学習が含まれる
- AIという最も広い概念の中に機械学習が含まれ、その機械学習の中にディープラーニングが含まれる
- 機械学習という最も広い概念の中に、AIとディープラーニングが並んで含まれる
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答え:3— AIという最も広い概念の中に機械学習が含まれ、その機械学習の中にディープラーニングが含まれる
正解は「AIという最も広い概念の中に機械学習が含まれ、その機械学習の中にディープラーニングが含まれる」です。総務省「情報通信白書」は、人間の知的活動全般を模倣する広い概念としてのAI(人工知能)の中に、データから規則性やパターンを自動的に学習する「機械学習」があり、さらにその一手法として、多層のニューラルネットワークを用いる「ディープラーニング」が位置づけられる、という入れ子の関係を図表で整理しています。3つを並列の別技術と誤解しないことが基礎知識として問われます。
Q2第3章 現在の生成AIの動向
テキストで入力した説明文から画像を生成するAIサービスの一つに「DALL-E」がある。2021年1月5日に、GPT-3をもとに画像生成用へ訓練したモデルとして初めて研究発表した開発元はどれ?
- Stability AI
- Google DeepMind
- Midjourney, Inc.
- OpenAI
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答え:4— OpenAI
正解はOpenAIです。OpenAIは2021年1月5日、GPT-3をベースに画像生成用に訓練した120億パラメータのモデルとして「DALL-E」を研究発表しました。画家サルバドール・ダリと映画『ウォーリー(WALL-E)』を組み合わせた名称で、文章の説明から独創的な画像を生成する性能が注目を集めました。画像生成AIにはほかにStability AIのStable Diffusion、Midjourney, Inc.のMidjourneyなどもあり、開発元の違いを整理しておくことが実務では役立ちます。
Q3第2章 生成AI
現在の生成AIの多くが基盤として採用しているニューラルネットワーク構造「Transformer」は、2017年に発表されたある論文で提案された。Googleの研究者らが発表した、この論文のタイトルはどれ?
- Generative Adversarial Networks
- Attention Is All You Need
- Deep Residual Learning for Image Recognition
- Language Models are Few-Shot Learners
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答え:2— Attention Is All You Need
正解は「Attention Is All You Need」です。2017年にGoogleのVaswaniらが発表したこの論文は、再帰やたたみ込みを使わず、系列内の要素同士の関連度を計算する「注意機構(Attention)」だけで構成するTransformerという構造を提案しました。並列計算がしやすく学習が高速なため、後のBERTやGPTシリーズなど現在の主要な言語モデルの基盤として採用されています。「Language Models are Few-Shot Learners」はGPT-3の論文で、Transformerを基盤に使った側の論文です。
Q4第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則
生成AIサービスに、社員や顧客の個人情報を含む文章を入力して要約させるといった使い方には注意が必要だとされている。個人情報保護委員会が2023年6月2日に公表した「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」が指摘する主なリスクとして正しいものはどれ?
- 生成AIの利用には必ず本人の運転免許証の提示が必要になる
- 生成AIに入力した情報は入力後24時間で自動的に完全削除される
- 生成AIサービスに入力した個人情報が、AIの学習データとして事業者に提供されたことになりうる
- 生成AIサービスの利用はすべて個人情報保護法違反にあたる
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答え:3— 生成AIサービスに入力した個人情報が、AIの学習データとして事業者に提供されたことになりうる
正解は「生成AIサービスに入力した個人情報が、AIの学習データとして事業者に提供されたことになりうる」です。個人情報保護委員会は2023年6月2日、生成AIサービスの普及を踏まえた注意喚起を公表し、個人情報取扱事業者が生成AIに個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定した利用目的の範囲内であることを確認するよう求めました。入力した情報がサービス提供者のAI精度向上のための学習データとして扱われる場合、それは第三者への個人データ提供にあたりうるため、事前の確認と同意の有無が実務上の論点になります。
Q5第3章 現在の生成AIの動向
生成AIサービスの中には、テキストの質問に対して画像を読み取って答えたり、音声を聞き取って文章で応答したりできるものが増えている。テキスト・画像・音声・動画など、複数の異なる種類のデータをまとめて扱えるAIを指す呼び方はどれ?
- マルチモーダルAI
- シングルモーダルAI
- エッジAI
- フェデレーテッドラーニング
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答え:1— マルチモーダルAI
正解はマルチモーダルAIです。テキスト・画像・音声・動画といった異なる種類のデータ(モダリティ)を組み合わせて統合的に処理・理解できるAIを指します。1種類の情報しか扱えない従来のシングルモーダルAIに対し、複数の感覚に近い情報を組み合わせて判断できる点が特徴で、画像を見せて説明させたり、音声から文章を生成させたりする使い方が生成AIの実務応用として広がっています。エッジAIは端末上で処理するAI、フェデレーテッドラーニングはデータを共有せず分散して学習する手法で、いずれも別の概念です。
Q6第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例
生成AIに社内文書や最新情報をもとに正確な回答をさせる手法の一つに、質問に関連する文書を外部のデータベースから検索し、その内容を踏まえて回答を生成させる仕組みがある。2020年にFacebook AI Researchらが発表した論文で示された、この仕組みの名称はどれ?
- ファインチューニング
- Chain-of-Thoughtプロンプティング
- ゼロショットプロンプティング
- RAG(検索拡張生成)
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答え:4— RAG(検索拡張生成)
正解はRAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)です。2020年にFacebook AI Research(現Meta AI)などの研究者が発表した論文で示された仕組みで、質問が来ると外部のデータベースや文書から関連する情報をまず検索し、その内容をプロンプトに含めたうえで回答を生成します。モデル自体を再学習するファインチューニングと異なり、最新の社内文書などを都度参照させられるため、知識カットオフ後の情報や専門文書に基づく正確な回答を得る手法として実務で広く使われています。
Q7第1章 AI(人工知能)
AI研究には、過度な期待から冷え込む「AIの冬」が過去に複数回あった一方、現在につながる「第三次AIブーム」に火をつけた出来事もある。2012年の大規模画像認識コンテストで、それまでの手法を大差で上回る成績を収め、ディープラーニングの実力を世に知らしめたニューラルネットワークの名称はどれ?
- LeNet
- VGGNet
- AlexNet
- ResNet
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答え:3— AlexNet
正解はAlexNetです。トロント大学のAlex Krizhevsky、Ilya Sutskever、Geoffrey Hintonが2012年に発表した畳み込みニューラルネットワークで、大規模画像認識コンテストILSVRC2012において、それまでの手法の誤答率を大きく下回る成績で優勝しました。この結果はディープラーニングの実用性を世界に知らしめる転機となり、現在まで続く「第三次AIブーム」の火付け役とされています。VGGNetは2014年、ResNetは2015年に登場した、AlexNet以降の発展形にあたるモデルです。
Q8第5章 テキスト生成AIのプロンプト制作と実例
生成AIのAPIを利用する際、料金や1回のやり取りで扱える文字数の上限は「トークン」という単位で計算される。このトークンの説明として正しいものはどれ?
- 文章を分割した際の単語・単語の一部・記号などの処理単位で、文字数とは一致しない
- 生成AIが1回の応答にかけた処理時間を表す単位
- 生成AIの回答の信頼度をパーセントで示す単位
- APIの利用料金を支払うために購入する仮想通貨の単位
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答え:1— 文章を分割した際の単語・単語の一部・記号などの処理単位で、文字数とは一致しない
正解は「文章を分割した際の単語・単語の一部・記号などの処理単位で、文字数とは一致しない」です。トークンは生成AIが文章を処理する際の最小単位で、単語全体が1トークンになることもあれば、1つの単語が複数のトークンに分割されることもあります。英語では1トークンがおおむね4文字程度に相当するとされますが、日本語を含め言語やモデルによって文字数とトークン数の対応は異なります。API利用料金や一度に扱える文章量の上限(コンテキストウィンドウ)は、このトークン数を基準に計算されます。
Q9第2章 生成AI
GPTシリーズのようなテキスト生成AIの多くは「自己回帰モデル(Autoregressive Model)」と呼ばれる仕組みで文章を生成している。この自己回帰モデルの仕組みの説明として正しいものはどれ?
- 生成器と識別器を競わせて、本物に近いデータを作り出す
- それまでに生成した単語列を条件として、次に来る単語の確率を順番に予測しながら文章を生成する
- 入力データをいったん低次元の潜在空間に圧縮し、その分布から復元して生成する
- 画像の一部領域にフィルタをかけて畳み込み演算を行い、特徴を段階的に抽出する
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答え:2— それまでに生成した単語列を条件として、次に来る単語の確率を順番に予測しながら文章を生成する
正解は「それまでに生成した単語列を条件として、次に来る単語の確率を順番に予測しながら文章を生成する」です。自己回帰モデルは、直前までの単語(トークン)列を踏まえて次の単語が来る確率を計算し、それを1語ずつ繰り返すことで文章全体を生成する仕組みです。GPTシリーズをはじめ多くのテキスト生成AIがこの方式を採用しています。生成器と識別器を競わせるのはGAN、潜在空間から復元するのはVAE、フィルタで特徴を抽出するのはCNNの仕組みで、いずれも自己回帰モデルとは異なる生成方式です。
Q10第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則
AIの安全・安心な活用に向けて、事業者が自主的に検討すべき行動の考え方を示した「AI事業者ガイドライン」(総務省・経済産業省、第1.2版は令和8年3月31日公表)は、AIに関わる立場を3つの主体に分けて指針を示している。この3つの主体の組み合わせとして正しいものはどれ?
- AI設計者・AI販売者・AI消費者
- データ提供者・モデル提供者・規制当局
- 一次利用者・二次利用者・第三者機関
- AI開発者・AI提供者・AI利用者
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答え:4— AI開発者・AI提供者・AI利用者
正解はAI開発者・AI提供者・AI利用者です。「AI事業者ガイドライン」は総務省・経済産業省が策定した、AIの安全・安心な活用に向けて事業者が自主的に検討すべき行動の考え方を整理した文書で、AIモデルを開発する「AI開発者」、開発されたAIをサービスとして提供する「AI提供者」、そのサービスを業務で使う「AI利用者」という3つの主体それぞれに向けた指針を示しています。最新の第1.2版は令和8年(2026年)3月31日に公表され、本編で基本理念と指針を、別添の付属資料で具体的な実践方法を示す構成です。法的拘束力はなく、事業者の自主的な取組を促すソフトローの位置づけです。